久高島は、沖縄本島南部、知念半島東の沖縄に浮かぶ、小さな島です。
この島は、神々の住む島として、知られています。
美しいサンゴ礁の海に囲まれた久高島は、古(いにしえ)の時代から神の島としてウチナーンチュにとって特別な場所であり続けてきました。
ですから、島に渡ってきた人たちは島の玄関にあるこの拝所で手を合わせるのはごく自然なことです。
島で過ごす時間が、安全で快適であるよう、久高の神々に祈りを捧げるのです。
【神話に彩られた島】カベール(ハビャーン)
琉球の神話によると、ウチナーンチュの始祖と言われるアマミキヨはこのカベールの岬から上陸したと伝えられています。
この久高島から沖縄の歴史が始まったのです。
久高島は琉球開闢(かいびゃく)の神話をはじめ、様々な伝説に彩られた聖なる島です。
カベールの森には海の神である竜宮神が鎮まっていると言います。
島の東にあるイシキ浜にはニライカナイから麦や稲、あわなど穀物の種が入った壺が流れついたという、黄金の壺伝説が残されています。
穀物の種はやがて、久高島から琉球全土へ広められたといいます。
ここもまた、海の彼方のニライカナイから神々が降り立つという聖なる浜です。
ヤガルガー・・・穀物伝来神話に登場する「みそぎの井泉」
琉球開闢伝説に登場する「フボー御嶽(うたき)」は沖縄七御嶽(うたき)の1つでもあり、久高島でも最も神聖な祈りの場です。
その為、島の神行事を司る者だけが、入る事を許されます。
【島の祭祀】
「久高殿」・・・御殿庭(ウドゥンミャー)と呼ばれ久高ノロが司るイザイホーの主祭場
「外間殿」・・・外間ノロが司る神行事を執り行う島で最も重要な祭祀場
この島では、1年を通して、実にたくさんの祭りごとが行われています。
中でも「イザイホー」は、特別な意味を持つ神行事です。
12年に1度執り行われるこのイザイホーによって、島の女たちは家族を守り、家を守り、そして島を守るカミンチュとなるのです。
しかし、1978年を最後にイザイホーは行われていません。
「ヒータチ」・・・大漁祈願の神行事。フボー御嶽やカベールで執り行う
「テーラーガーミ」・・・テーラーとは太陽の意味。太陽礼拝の神行事
「フバワク」・・・お祓いや健康祈願のため各御嶽を巡って祈りを捧げる
旧正月の前に行われる「ウプヌシガナシー」は1年で最後の神行事となるもので、健康祈願の結びとして1年間の無病息災を久高の神々に感謝を込めて祈ります。
旧暦で新しい年を祝う、そして祈る久高島の「旧正月」は島全体で行われる格式の高い神行事です。
普段は静かなこの島も新たな年を迎えた喜びで賑わい、神々とともに祝います。
ここ久高島では健康と幸運を祈り、豊穣を祈願する様々な神行事があります。
それが神の島と呼ばれる所以でもあります。
島の人たちにとって、神への祈りは日々の暮らしの中にごく自然に存在するもの、そして大切に守り続けてきた精神文化です。
映像提供:南城市役所(神々の島 久高島 平成18年3月28日作成)